>>51 の続き
デザインとアートは違う。という書き込みが有りますが、それはデザイナーとアーティストはスタンスが違うという事です。
デザインとアートをもっと厳密に整理すれば、技術と芸術は完全に切り離せない場合があり、むしろそれを積極的に融合させるのがデザイン。
職人は根本が技術者であり、その活動の結果として副次物としてに芸術性を発揮する場合がある。
芸術家は根本が表現者であり、その活動の手段に技術が必要になる場合がある。
デザイナーとは技術と芸術の架け橋的存在であり、双方をバランスさせる事が求められる。
技術屋である職人が芸術的な装飾を施してきた日本の伝統文化には、職人と芸術家の区別は有っても、デザインとアートの区別は無く、職人が芸術分野を侵食してきたのが実態。
産業構造の変化に伴って職人的気質は技術面でのみ活かされ、表現者的気質は埋没させられてしまい、その穴埋めとして計画的な芸術表現を賄うものとしてデザイナーが求められてきた。
本来その意味においては、デザイナーは総覧的立場に立つべきであり、社会的にもそう認識させるべきだが、経済合理性を優先される企業活動の中では地位を向上するに至らなかった。
佐野のような権威的存在や象徴的ブランドのみが、経済合理性の中で生き残り、表現者としてのアイデンティティは死んでいった。
デザイナーを技術と芸術のバランサーとしてではなく、技術と経済合理性のバランサー、乃至、芸術と経済合理性のバランサーへと貶めてしまった。
これは単に一業界の問題ではなく、日本社会全体の問題
「素人にはわかるまい」と言っても解決しないが、素人が理解しないから、わかりやすい経済合理性を優先してきたのも事実であろう。
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